高級スーツほど、実はデリケート?
「高いスーツだから丈夫だろう」 これは半分正解で、半分間違いです。高級な生地(細番手のウール)ほど、繊維が細く柔らかいため、摩擦や過度な着用にはデリケートです。しかし、適切なメンテナンスを行えば、安い化学繊維のスーツよりも圧倒的に長く、美しく着続けることができます。
天然素材には「復元力」があるからです。 ここでは、Regalisのプロが実践する、スーツを10年着るための3つの鉄則をお教えします。
鉄則1:一日着たら、二日休ませる(1着3休)
これが最も重要です。ウールは呼吸しています。一日着用して吸い込んだ汗や湿気を放出し、繊維のクリンプ(縮れ)が回復するまでには、約48時間が必要です。 毎日同じスーツを着るのは寿命を縮める最大の原因です。最低でも3着、できれば5着を着回すのが、結果的に最もコストパフォーマンスが高くなります。
鉄則2:クリーニングには「出しすぎない」
「汚れたらすぐクリーニング」はNGです。 ドライクリーニングは有機溶剤で洗うため、ウールの持つ天然の油分(ラノリン)まで落としてしまいます。油分がなくなると、生地はパサパサになり、艶がなくなり、破れやすくなります。 シーズンに1回、多くても2回で十分です。普段はブラッシングでホコリを落とし、スチームでシワを伸ばすだけでOKです。
鉄則3:厚みのある木製ハンガーを使う
型崩れの最大の原因は「保管」にあります。 クリーニング店から戻ってきた細い針金ハンガーのまま放置していませんか? ジャケットの肩は立体的です。厚みのある、肩のカーブに合った木製ハンガーにかけてください。木製のハンガーは湿気を吸い取る効果もあります。
育てる楽しみを知る
革靴と同じように、良いスーツは着込むほどに体に馴染み、味わいが出てきます。 ブラッシングをしている時の静かな時間。 シーズン終わりにメンテナンスに出す時のひと手間。
そうやって愛情をかけたスーツは、いざという時にあなたを裏切らず、最高のパフォーマンスを引き出してくれます。
Regalis Japan Groupでは、納品後のメンテナンス相談や、サイズ直しなどのアフターケアも承っています。売って終わりではありません。そのスーツが寿命を全うするまで、私たちは主治医として寄り添います。