オーダースーツ研究所とは
Regalisのリサーチャーが国内外の生地と職人技を調査し、読者が正しく選べる基準を提供する専門メディアです。本稿では「高いスーツ」が生む光沢と質感の差を、素材と仕立ての要素に分けて見分け方を整理します。
結論:光沢は「糸×織り×仕立て」の積み上げ
3要素の役割
- 糸(原料と番手):長繊維の梳毛糸と高い撚りが、滑らかな面と自然な艶を生む。
- 織り(密度と組織):高密度ツイルやサージが面の均一性を高め、乱反射を抑える。
- 仕立て(芯地とアイロンワーク):毛芯とクセ取りで立体感を作り、光の当たり方を制御する。

価格が上がる条件
- Super110’s〜130’sの長繊維原料+双糸(2本撚り)
- 260g/m²以上の高密度ツイルやサージ
- 総毛芯+手アイロンで立体を作り、接着芯を避ける
糸と番手:数字が高いほど良いわけではない
番手の意味
- Super表記は「繊維の細さ」。数字が高いほど細く、光沢と柔らかさが増すが、摩耗耐久は下がる。
- 日常使いはSuper100’s〜110’sが現実的。Super140’s以上はドレス用途や着用頻度の低いシーン向け。
店頭でのチェック
- 生地を斜めに傾け、光の筋が滑らかに流れるか確認。
- 指で弾いたときの復元力(ハリ)があるか。ぺたっと沈むものは耐久が弱い。

織りと目付:艶を決める「面の均一性」
目付と季節
- 240〜260g/m²:春夏向けの軽量。通気性重視で光沢は控えめ。
- 260〜280g/m²:オールシーズンの王道。光沢・ドレープ・耐久のバランスが最も良い。
- 280g/m²以上:秋冬向け。フランネルは起毛で艶より質感を楽しむ。
織りの違い
- ツイル/サージ:斜めの畝があり、表情豊かで光沢が強い。
- ホップサック:通気性が高く、マットな質感。夏のビジカジ向き。
- 平織り(トロピカル):軽快だがシワに弱い。夏専用と割り切る。
仕立てとアイロンワーク:立体が艶をつくる
毛芯の効果
- 胸からラペルにかけて膨らみを作ることで、光が曲面を流れ、自然なグラデーションの艶が出る。
- 接着芯は平坦でパリッとした見え方になるが、経年で波打つリスクがある。
クセ取りと縫製
- 前肩補正や袖のいせ込みで、肩周りのシワを抑える。光が乱反射せず、面が滑らかに見える。
- 手まつりの裏地は動きに追従し、表地の歪みを防ぐ。
店頭で使える「一目チェックリスト」
- ラペルのロールが立体的か(平坦なら接着芯の可能性大)
- 生地をつまんで戻したときの復元力があるか
- 肩から袖山に放射状のシワが出ていないか
- ポケット口が浮いていないか(芯地と縫製精度の指標)
まとめ:高い理由を要素で確認する
- 糸:長繊維の双糸か、番手は用途に合っているか。
- 織り/目付:260〜280g/m²前後の高密度ツイルなら光沢・耐久・オールシーズン性が両立。
- 仕立て:総毛芯とクセ取りで立体を作っているか。
この3点が揃っていれば、価格差には明確な根拠があります。試着時は「光の流れ」「復元力」「ラペルのロール」を確認し、投資価値のある1着を見極めてください。